自爆霊穂"無実ちゃんと十一対の並行世界

前作十一人の未来罪人の続編。2021/02/22更新スタート。出来れば毎日更新。

不測ハーレム-1-

 ギギが追いついてくる前にこの場から立ち去るにあたって、右と左のどちらの生き物に乗ろうかと思案していた矢先である。


「もしもし、そこにいらっしゃる旅のお方」


 恐らくは僕に向けられたであろう素性不明の声が、後方より聞こえてきた。


「だっ……誰だッ!?」


 あたりには人の気配がしなかった為に油断していた僕は、思わず怒鳴るような形になってしまったが、声の主へ振り返るとともに尋ねた。
 


「お初にお目にかかります。わたくし、レジイと申します。こんばんわ」


 紫陽花をすり潰したような髪色に、凛とした眼差し。


 整った鼻形に加えて尖った両耳は、いわゆる一般的に典型的な“エルフ”を連想してしまう。


 僕へと襲いかかってきた男達やギギと同様、その肌色は白く透き通っており、肌触りの良さそうなローブをその身に纏っている。


 あと何か胸回りや腰回りの布面積が極端に少ない……ありていに言って露出の激しい格好であった。



 そんな際どい格好をした、おそらくは転生後に初めて対面した女性への目のやり場に困りつつも、僕はかろうじて言葉を返した。


「あっ、はい。こんばんわレジイさん。僕の名前はあつ……し……」


 名を尋ねあっさりと返事をされ、あやうくこちらも反射的に自己紹介に及びそうになってしまったが(というか普通に挨拶を返してしまった)しかしと僕は訝しむ。



 ギギ一派の新手――僕の知り得ない 敵 なのではないかという、そんな疑念がよぎったのである。



「アツシ――まぁ。とても良い響きのお名前ですね。さて、アツシ様。ひとつ頼みがございまして、よろしいでしょうか?」


 立ち振る舞いを決めあぐねている僕の心情を知ってか知らずか、レジイは悲壮に満ちた表情を浮かべ、こう続けた。



「不躾なお願いで恐縮ではございますが、どうか……わたくし達三姉妹を 一 緒 に 連れて行ってはくれませんか?」



「……はい?」




 テンプレにも程がある、もっとこうヒネりとかそういうのがあっても良いんじゃないかという位に、死ぬ程分かり易くもお約束なこの展開。


 分かり易すぎて眩暈がしてくるも、しかしどうやら夢ではないらしい。


 ほっぺたをつねったら、ちゃんと痛かったし。