ギギが追いついてくる前にこの場から立ち去るにあたって、右と左のどちらの生き物に乗ろうかと思案していた矢先である。 「もしもし、そこにいらっしゃる旅のお方」 恐らくは僕に向けられたであろう素性不明の声が、後方より聞こえてきた。 「だっ……誰だッ!…
中学生だった頃に理科の授業で習った記憶が、おぼろげながら脳裏に浮かぶ。 曰く、火の温度の高さは色によって違ってくるという、至極基礎的な知識が。 熱と光とを発して燃えているもの・高温で赤熱したものが火と定義されており、気体が燃焼して熱及び光を…
想定上ではてっきり火球や火柱の類が一直線に向かってくると思っていた矢先、明らかに拍子抜けした感が否めなかったが。 身構えた僕の前方より、ふわりとした風が吹いてきた。 しかし数秒後にその認識は大きく誤っていた事を、僕は思い知らされてしまのであ…